![]() 季刊 チルチンびと No.17 2001 SUMMER より |
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![]() 小川耕太郎・百合子さん夫妻は賀田の港を見下ろす高台に暮らす。蜜ロウワックスの利益の5%を産地に還元することをめざし奮闘中。 |
蜜ロウワックスにたどり着くのにそう時間はかからなかった。小川さんが地元の小学校の内装が木でつくられたというので見学に行ったところ、仕上げがなんと化学塗料だった。 「せっかくの木の良さをダメにしてしまう。木を生かす塗料がないだろうか」 ドイツ製蜜ロウワックスも調べてみたが、それにも有機溶剤が入っていた。 自然系のワックスといえば昔から蜜ロウが知られている。しかし伸びが悪く扱いにくいのが難点。伸ばすのに植物性オイルなら安全なものができるはずだ。「蜜ロウと油だけでまったく害のないワックスを作れないだろうか」と中村さんに相談すると、「できる」との返答。プロポリスクリームをつくっていた中村さんには自信があった。昔から木工は荏ゴマ油を用いていたではないか。 そして、蜜ロウ+荏ゴマ油の配合ワックスへの挑戦がはじまる。木に用いるにはどんなタイプが向いているのか、配合比率をさまざまに変えながら、3タイプを製品化することに。ケヤキに塗ったところ、「これはすごい」と元製材屋の耕太郎さんにはわかった。早速、家具職人や主婦に試供品を使ってもらいアンケート調査を行う、と同時に注文が入ってきた。薦められ特許も出願した。 |
| 「蜜ロウと荏ゴマ油、どちらもそれぞれ伝統的に使われてきた材料でしたが、一緒にすることで現代に求められる塗料が生まれたのです」と小川さん。それは安全で、かつ環境を守られるもの。「未晒し蜜ロウワックス」は、まさにそれにあたる商品となった。「顔に塗っても口に入ってもだいじょうぶ」な、ある意味でぜいたくな塗料。社会はこういうものを求めていた。その背景に「シックハウス症候群」など化学物質過敏症が急増している状況があった。 |
| 自然の素材で環境教育 4月2日、神奈川県の二宮小学校では朝9時から先生と保護者が1年生の教室に蜜ロウワックスがけを行った。18リットル缶に入った「柔らかタイプ」のワックスをスポンジに含ませて木の皮に伸ばし塗っていく。 二宮小学校でこのワックスがけを行ったのは、今年4月に入学した児童の中に、化学物質に敏感な子どもがいるからだ。その子の母親は「去年夏、二宮町の就学相談会で相談してみたところ、教育委員会と校長先生、親とで勉強会をはじめることになりました。いろいろ調べてこの蜜ロウワックスが採用になったのです」とひと安心のようす。 蜜ロウワックスの採用を決めた橘川卓司校長は、こんなふうに話す。 「これまで使ってきたワックスより値段が高いですが、子どもの健康と命が一番大事だと思うので決めました。たとえ一人二人の子どものことでも、『何万分の一でも命は大事』なんです」。小川さんは「今年からミツバチや雑木山のことを紙芝居で伝える自然教育もはじめます」と語る。同校で保護者、先生たちと行ったのがその第一歩となった。 |