日本の山林循環について

21世紀型山林循環経済活動構想と実践

効率だけが優先して経済がグローバル化しても環境はグローバル化できない

 今までも林業の現状につきまして何回か書いてきましたが、林業の危機的状況はさらに深刻さを増し、一刻も早く打開策を実行に移さなくてはならない状況にきています。今回は私どもの提言と実際に行っている活動を書かせていただきます。

エコツアー環境教育を目的とした山の利用

環境フェアーIN三重県太多賀山FSCの森 速水林業 2002年10月27日
三重県海山町FSCの山で環境フェアーを行いました。様々なテーマで環境について分科会がありました。
写真:紀北の木を使って家を建てよう!(小屋程度の家を地域のみなさんで建てるワークショップ。)

ツリークライミング
ある道具を使って木に登るイベントが行われました。大きな木に登る体験は爽快です。ツリークライミングジャパンが企画しています
http://www.treeclimbingjapan.org/

-(有)小川耕太郎∞百合子社からの提案-
 何度も書いていることではありますが、現在日本の林業・製材業は経営がまったく成り立たない状況になっています。外材・積層材に住宅の構造材としての役割を取って代わられ、売れなくなっていることが原因です。このままでは、日本の林業・製材業が無くなってしまいかねません。木材業界だけでなく多くの業界が今、同様の問題に直面しています。経済のグローバル化というのでしょうか。本当にそれでよいのか疑問に感じております。情報や知識がグローバルに共有できること、同じものがより安く手に入ることは良いことだと思います。しかし、日本は生産性の低い農林漁業を捨て、サービス業と付加価値の高い製品を製造するだけの国にして良いのでしょうか?考えてみてください、日本の空気が汚れたからといってアマゾンから空気を運んでくるなんてできるでしょうか。もちろんできるわけがありません。環境というものはグローバル化できないのです。つまり、グローバル化といって効率だけを優先していては、生活の基本である衣・食・住そのものが不安定になってしまうということです。それぞれの地域ごとに第一・第二・第三次産業がある、自然があって産業があるようにしなければいけないのではないでしょうか

山の手入れが行き届かず、森林のもつ公益機能が損なわれる。
国産材を循環できる程度に利用することは必要不可欠

 住宅を例にとると、コンクリート造、鉄骨造、外材を使った木造でも地震に強く長持ちする家、快適に生活できる家はできるでしょう。しかし、周りの環境を大切にするという観点から見ると、それらの部材ではなく国産材を利用することがどうしても必要になってきます。現在、過度に外材に頼るようになり、国産材を生産する林業・製材業は経営が成り立っていません。そのため、山の手入れが行き届かず、森林の持つ公益的機能が森林の持つ公益的機能【1水資源涵養 2土砂流出防止 3土砂崩壊防止 4保険休養 5野生鳥獣保護 6酸素供給など】が損なわれています。

 森林ボランティアが盛んになってきておりますが、それだけで日本の山林を維持管理することは不可能ですし、補助金を使うやり方はコストが掛かり過ぎます。林業や製材業などの産業が成り立つからこそ、それらを生業にしている人たちは森林に入り、山の手入れをすることができるのです。このまま放置すれば、日本の林業・製材業は崩壊してしまうでしょう。いくら健康住宅を建てても、周りの環境が悪化し、安心・安全に暮らすことができなくなる恐れがあるのです。国産材を循環できる程度に利用することが今、必要不可欠なのです。林業家・製材業者も工夫が必要です。今までのように住宅の構造材を作り、市場任せで販売するだけの時代は終わりました。木材の利用を促すための取り組みを始めなくてはなりません。

住宅の新築数に頼らない林業、製材業の経営。
これからの山林循環経済活動の構想。

建築建材以外の商品開発

ヒノキのカンナクズを使った生涯学習
(株)おわせ木楽屋ではヒノキのカンナクズで作った生涯学習プログラムを作成。アートフラワーをキットを商品化し、地域の学校の卒業式に在校生が卒業生にヒノキの花を贈ります。その他リハビリやデーサービス等にも利用予定。

木星防音壁
遮音壁の開発

熊野川流域木材協同組合が開発。バイパスなどに利用されている。新しい間伐材利用として注目を浴びている。

間伐材魚礁

木製の魚礁が出来ないのか実験中。魚礁に藻が生えることによってプランクトが増殖する。

1、建築用材としての需要創造及び販売戦略
今までのような人任せの販売から一歩踏み出し、地域の山の大切さを施主に伝えながら直接販売していく仕組みつくり
2、建築用材以外の商品開発
杉パネルを高速道路の遮音壁・吸音壁に利用する取り組み。間伐材を炭にしたり、間伐材を漁礁に利用する方法。
ひのきの鉋屑を使った生涯学習プログラムの作成の工夫。
3、エコツアー・ツリークライミング等の保険休養
(環境教育を目的とした山林の活用)
山や川を利用したエコツアーの開催。
親子環境教室等への利用。
4、複合バイオマス利用の仕組みづくり
ひのきの精油、リグニンの活用、ペレット、発電等利用の複合化。
5、不在村山主・保安林の育林管理請負
山林の適正管理による緑のダム構想。林業従事者の育成。
間伐材の2、4への利用
6、CO2排出権市場の研究
排出権取引のためには木の成長量が必要になるため、適正管理されていることが必要

 少し専門的になりましたが、このような取り組みにより、住宅の新築数に頼らない林業・製材業の経営が必要と考えております。林業・製材業者はその役割を認識し、節度を持ち、努力し、消費者に伝えることが大切です。そして、消費者も自然を生かす商品を知る努力をし、それらの商品をできるだけ購入し、産業を育て、環境に貢献すべきだと考えます。

(有)小川耕太郎∞百合子社の山林循環経済活動の活動の実践。

森林のバイオマスの複合利用

紀州の養蜂家、ミツバチ、山に咲く花々を利用した未晒し蜜ロウワックス
紀州の特産品「雑木山のハチミツ」を採った後の副産物を利用して作った自然塗料。新しい林産物として提案した商品。それぞれの地域ごとに第一、第二、第三産業がある自然があった産業がある哲学を商品化したもの。

ヒノキの精油
リグニンの利用

■三重大学の研究所が木からリグニンを取り出すことが研究され、世界初の発明になった。(株)コクヨが商品化に向けいろいろなテストを行っている。
■ヒノキの精油は防虫剤、排気ガスの汚染物質の吸着など様々な分野で注目。尾鷲市では市で勉強会を行っている。

1、三重県産木材推進研究会での取り組み
県産木材推進研究会に参加。三重県・林業家・製材所・設計士・工務店・消費者の方々と共に地域材を使った家作りのシステム開発と勉強会を始めることになりました。
2、三重県農林課が取り組む、地産地消でエコスクール。
三重県四日市市にシックスクール問題に対応したモデル校を作ります。完全な対応は難しいですが、化学物質に敏感な子どもでも通える学校にしたいと思っております。
3、尾鷲材の建築用材一棟分の請負
(株)おわせ木楽屋を中心に、山を案内し、丸太・製材所・加工所の見学会を行い、家一棟分の請負ができるようしていきます。
4、建材用以外の木材利用を広げるための新商品開発
建築用材以外の木材利用を広げるために新商品開発・販売のお手伝いを始めます。
5、バイオマス利用
バイオマス利用についての情報の提供、いくつかの会社との共同事業を検討しています。
6、環境ワークショップ
環境教育プログラムの作成及び地元のボランティア団体と共同で親子・設計士・施主を対象の環境学習会を開催していきます。
7、未晒し蜜ロウワックスの整備
蜜ロウワックスの情報公開、カタログの整備をし、トラブルなくワックスを利用できるようにしていきます。
8、未晒し蜜ロウワックスだけでなく地域全体のPR活動に寄与していきます。

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